第一回・団鬼六賞 大賞受賞の官能小説家として注目を集める花房観音
自らの男運の悪い人生を赤裸々に語る、爆笑エッセイ!
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花房観音
Hanabusa Kannon
vol.12
PROFILE

花房観音
(はなぶさかんのん)
映画会社社員、テレクラのサクラ、派遣OL、国内旅行添乗員、旅行会社社員、社長秘書などさまざまな職業を経て、現在はバスガイドをしながら作家として活躍中。
第1回 団鬼六賞大賞を受賞した「花祀り」が書籍化(無双舎)。
社団法人 現代風俗研究会会員。
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最低な男への依存心を断ち切った頃には20代という青春が終わろうとしていた…。
遠くなりゆく京都を眺めながら、失った青春と金が戻ってこないと悟った私は復讐を誓う。
ついに最低男との戦いはクライマックスへ―。
30歳過ぎてサラ金&家賃滞納で実家に連れ戻されてダメ人間街道を突っ走っていた私ですが、実はずっと親にバレたら死のうと思っていました。どうせ生きててもいいことないし…男には愛されてないし…でもいざその時が来ても死ねなかった。
けれど実家に帰ってはみたもののキャリア無し、学歴高卒、資格無し、三十路で容貌のレベルも低い女には仕事はありません。それでも旅行会社や工場で働きながら、さまざまなアルバイトをして数年が経ちました。常に二つ以上の仕事をして早出残業しまくって、資格試験とかも受けて、私しゃ人生でこの期間ほどがんばったことはないです。もう一心不乱に働いて勉強もした。そのエネルギーの源は「京都に再び戻りたい」この一念だけです。
そして今からちょうど6年前に親の大反対を振り切って京都に戻りました。それからもバスガイドをしながら会社勤めもしたり、ライターもやったりしながら小説家修行―がんばりましたよ…。京都に戻ってからの原動力は「復讐」です。あの男への、復讐。私を人間扱いせず、とことん利用して、未だ罪悪感ない男への復讐です。プライドだけ高い傲慢な男への復讐―と、いうよりは私自身の失われた20代への復讐でした。卑屈で自分に自信が無さ過ぎて男に依存しまくり、いろんなものを失ったミジメな20代への復讐。私の30代は「復讐」を遂げるために、ひたすら働いて学んで書いていました。
はじめての男は私が小説家になったことを未だに知りません。
彼の中では私はあの頃のままの「なんでも自分のいうことを聞く女」なのです。昨年の夏に夫とご飯を食べている最中に、久しぶりにヤツからのメールが来ました。「会わないか」というメールです。実は数ヵ月に一度、ヤツからのメールは来ていました。ほとんど無視してたけど!長いこと会ってないのに何を今さらって話ですが、私に対して全く罪悪感を持っていないだけではなく、未だに利用する気まんまんなのです。この時は、さすがにめんどくさくなったので「実は結婚した」と返事をすると「幸せに」と返ってきました…。
いや、あんた「幸せに」じゃなくってさ!金返せよ!何をきれいごと抜かして酔ってんだよ!!本気で幸せにとか思うなら謝って働いて返済しろ!!
あぁ…バカだクズだとは思ってましたが、この男は本物でした…。
自分の借金はすっかり無かったことにして(私はそれが原因で仕事を失い、実家に戻ったことも知ってるくせに)会おうだの幸せになどとヌかしやがって…やっぱり私は男運の悪い女!!
私はダメ女です。バカで依存心が強くて綺麗でもなけりゃ若くもない。けど私がそんな女じゃなければ作家になんてなれなかったし、作家を目指すことにより得たさまざまな人との出会いもなかった。マイナスだらけの欠陥人間だからこそ、今ここに自分がいるのです。
劣等感なんて払拭できないし過去をやり直すこともできない。けれど生きてりゃこんな女でもなんとかなります。何度も死のうと思いましたが、死ななくてよかった。
幸せになることが、不幸な過去へのいちばんの復讐です。
ええ、私しゃこれからもっともっと幸せになりますとも!幸せを求め続けます!
―おわり

モモコ愛読者の皆さまとはいったん今回でお別れとなりますが、私の経験を通じて「この人よりは私の方がマシ」とか「こんな人でもなんとかなってるんだから私もがんばって生きていこう」なんて思っていただけたら嬉しいです。
ではでは、またどこかで皆さまとお会いできることを願っております!

第1回団鬼六賞 大賞受賞作「花祀り」
京和菓子をモチーフに男と女、女と女が綾なす至福の官能小説。京都に息づく秘めやかな悦楽・・・。
「濡れ場が手段になってはいけないと思うんです。目的であってほしいなと。ここを一番書きたかったんだ、という。その面では、『花祀り』の花房さんはこれを書きたかったんですよ、ヒヒオヤジたちに犯されていくところを」
―重松清・選考座談会より―
「官能小説っていろいろ書き方があると思うんですが、エンドレス、団先生の『花と蛇』みたいに永遠に終わらないというのが面白い。独特の世界。この『花祀り』も、終わらない感じがあるでしょう」
―高橋源一郎・選考座談会より―
「シットリ系エロの中で適度にバランスがよかったんですよ、濡れ場の配置が。官能としては、完成度はいいなと思いました。」
―睦月影郎・選考座談会より―